GLP-1受容体作動薬は、糖尿病治療薬として開発されたものですが、体重減少への効果が認められており、ダイエット薬としても使用されています。GLP-1受容体作動薬のダイエット効果に関する報告も多数されています。
今回は学会などで発表された様々な試験の結果をご紹介します。
LEADER試験 (Liraglutide Effect and Action in Diabetes: Evaluation of Cardiovascular Outcome Results)
この試験では、GLP-1受容体作動薬のリラグルチド(ビクトーザ)を用いて、糖尿病患者に対する心血管イベントの減少効果が調査されました。
リラグルチドを用いた場合、1年間で平均体重減少は約3.0 kgでした。
また、試験終了時までの平均体重減少は、リラグルチド群で約5.3 kg、プラセボ群で約1.4 kgでした(Marso et al., 2016)。
SCALE試験 (Satiety and Clinical Adiposity – Liraglutide Evidence)
非糖尿病患者を対象に、リラグルチド(ビクトーザ)の体重減少効果が調査されました。1年間の試験期間中、リラグルチド群では平均体重減少が約8.4 kg、プラセボ群では約2.8 kgでした。
リラグルチド群では、プラセボ群に比べて有意に大きな体重減少が認められました(Pi-Sunyer et al., 2015)。
STEP試験(Semaglutide Treatment Effect in People with obesity)
セマグルチド(リベルサス、オゼンピック)は、GLP-1受容体作動薬の一つで、リラグルチドよりも長い作用時間を持っています。
STEP試験(Semaglutide Treatment Effect in People with obesity)では、非糖尿病患者を対象にセマグルチドの効果が評価されました。
結果として、セマグルチドを用いた場合、1年間で平均体重減少は約15%であり、プラセボ群に比べて有意に大きな体重減少が認められました(Wilding et al., 2021)。
まとめ
GLP-1受容体作動薬は糖尿病患者だけでなく、非糖尿病患者に対してもダイエット効果があることが複数の研究で示されています。
ただし、GLP-1受容体作動薬には個人差があり、効果の程度や持続性が異なることがあります。また、副作用に注意が必要です。一部の患者では、消化器症状(吐き気、嘔吐、下痢など)や頭痛、低血糖症状が報告されています。これらの副作用は、通常、薬の使用開始後数週間以内に発生し、多くの場合は徐々に軽減されます。
また、GLP-1受容体作動薬のダイエット効果は以下のメカニズムにより説明されています。
- 摂食抑制作用:GLP-1受容体作動薬は、脳の食物摂取を制御する部位(視床下部)に作用し、満腹感を促進し、食事摂取量を減少させることが示されています。
- 胃腸運動抑制作用:これらの薬物は、胃の蠕動運動を遅らせ、胃の空腹感を維持し、食事摂取量を減少させる効果があります。
GLP-1受容体作動薬を用いたダイエットは、生活習慣の改善(食事管理や適度な運動)と併用することで、より効果的な体重管理が期待できます。
ただし、これらの薬物は処方箋が必要であり、医師の指導のもと使用する必要があります。また、病状や既往歴によっては使用できない場合もあるため、必ず医師と相談してください。