当院では夜間の性病検査及び抗生剤治療、性病予防薬も対応しております。
今すぐ解決したいニーズに応えられる体制を整えました。
まずは性病について、本ページで概略を説明していきたいと思います。
なお、当院では抗生剤はアジスロマイシン(ジスロマック®︎)、ドキシサイクリン(ビブラマイシン®︎)を取り扱っております。
また、性病予防としてDoxyPEP(ドキシサイクリン予防内服)も取り扱っております。
迅速検査 | 概ね30分前後で検査結果がでます |
クラミジア・淋菌 | 8,800 円 |
HIV・梅毒 | 8,800 円 |
抗生剤 | |
アジスロマイシン | 6,600 円 |
ドキシサイクリン | 6,600 円 |
DoxyPEP(性病予防内服) | 6,600 円 |
性感染症とは
性感染症(Sexually Transmitted Infections: STI)とは、主に性的接触を介して感染する病気の総称です。性病(STD: Sexually Transmitted Diseases)の名称でも知られ、広く使われています。
性感染症は性器同士の接触だけでなく、オーラルセックスやアナルセックスなどの性行為全般を通じて感染する可能性があります。また、一部の感染症は母子感染や血液を介した感染もあります。
性感染症は以下のような理由から、公衆衛生上重要な課題となっています:
- 不妊症のリスク: クラミジアや淋菌などの性感染症は、適切に治療されないと男女ともに不妊の原因となることがあります。
- 母子感染: 妊娠中の女性が性感染症に罹患している場合、出産時に赤ちゃんに感染し、先天性の障害をもたらす可能性があります。
- HIV感染リスクの増加: 性器ヘルペスや梅毒などの性感染症は、HIVの感染リスクを3倍以上に高める場合があります。
- 発がんリスク: ヒトパピローマウイルス(HPV)は子宮頸がんの主な原因となります。
- その他の健康被害: 治療されない梅毒などは、長期的には神経系や心血管系に重大な合併症をもたらす可能性があります。
性感染症の現在
世界的な状況
世界保健機関(WHO)の報告によると、世界中で毎日100万人以上の15~49歳の人々が、治療可能な性感染症に感染しています。その多くは無症状であり、気づかないうちに感染が広がっているケースが少なくありません。2020年には、クラミジア、淋病、梅毒、トリコモナスという治療可能な4つの性感染症のいずれかに、15~49歳の人々が新たに感染し、その数は3億7,400万人にのぼると推定されています。
また、15~49歳の人口のうち、5億人以上が単純ヘルペスウイルス(HSV)に性器感染していると見られています。
日本における状況
日本でも性感染症は増加傾向にあります。特に梅毒は2011年頃から再び増加し始め、ここ数年で急増しています。2021年には7,875件の報告があり、2022年には10,000件を超えると予測されていました。
性感染症の年齢別分布では、多くの疾患が20代前半にピークがあり、女性は特に20~24歳に集中しています。男性は比較的幅広い年齢層で報告されています。日本の若年層における性感染症、特に性器クラミジア感染症の増加は深刻な問題として認識されています。
薬剤耐性の問題
薬剤耐性は、世界的に性感染症の疾病負荷を減らすための大きな脅威となっています。特に淋菌は薬剤耐性が問題となっており、治療が難しくなっているケースが増えています。このため、治療後に必ず陰転化(検査で陰性になること)を確認することが重要です。
主な性感染症の種類と特徴
膣や尿道の検体でわかる感染症には以下のものがあげられます。
性器クラミジア感染症
病原体: クラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis)
潜伏期間: 1~3週間
症状:
- 男性:尿道からの分泌物(淋病より少量)、排尿時の痛み
- 女性:多くが無症状、不正出血、下腹部痛、Fitz-Hugh-Curtis症候群
特徴: 若年層に最も多い性感染症。無症状のまま骨盤内炎症性疾患(Fitz-Hugh-Curtis症候群)に進行し、不妊の原因になることも
淋菌感染症(淋病)
病原体: 淋菌(Neisseria gonorrhoeae) 潜伏期間: 2~7日
症状:
- 男性:尿道からの膿性分泌物、排尿時の痛み
- 女性:多くが無症状、膣分泌物の増加、下腹部痛
- 咽頭や直腸の感染も多い 特徴: 薬剤耐性が問題となっており、治療後の確認検査が重要
マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症
病原体: マイコプラズマ・ジェニタリウム、ウレアプラズマ・ウレアリティカムなど
潜伏期間: 1~3週間
症状: クラミジアに似た症状、多くは無症状
特徴: 不妊症との関連が示唆されている
トリコモナス症
病原体: 腟トリコモナス(Trichomonas vaginalis)
潜伏期間: 4~28日
症状:
- 女性:泡状・悪臭のある膣分泌物、膣のかゆみ
- 男性:多くは無症状、尿道炎症状
特徴: 適切な抗原虫薬で治療可能
カンジダ症
病原体: カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)などの真菌
潜伏期間: 特になし(常在菌の増殖)
症状: 性器のかゆみ、白色のチーズ状分泌物
特徴: 抗生物質の使用、免疫低下、糖尿病などがリスク因子
性器ヘルペス
病原体: 単純ヘルペスウイルス(HSV-1, HSV-2)
潜伏期間: 2~12日 症状: 性器周辺の水疱、痛み、かゆみ、発熱
特徴: 一度感染すると生涯にわたり体内に潜伏し、再発を繰り返すことがある
尖圭コンジローマ
病原体: ヒトパピローマウイルス(HPV)の低リスク型
潜伏期間: 1~8ヶ月
症状: 性器や肛門周囲にいぼ状の隆起
特徴: HPVのワクチン接種で予防可能な場合がある
一方、血液検体でわかる感染症には以下のものがあげられます。
梅毒
病原体: 梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)
潜伏期間: 約3週間(10~90日)
症状:
- 第1期:無痛性の硬い潰瘍(しこり)が性器や口腔内に現れる
- 第2期:全身に発疹、特に手のひらや足の裏に現れる
- 第3期:心臓や神経系などの臓器に障害が出現
特徴: 症状が多様で気づきにくく、症状が消えても感染力が残るため要注意
B型肝炎
病原体: B型肝炎ウイルス(HBV)
潜伏期間: 60~180日
症状: 多くは無症状、黄疸、倦怠感、腹痛、吐き気
特徴: 血液や体液を介して感染、ワクチンで予防可能
HIV感染症/エイズ
病原体: ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
潜伏期間: 数週間~数年 症状: 初期は風邪様症状、無症状期を経て免疫低下によりエイズ発症
特徴: 早期発見と治療により、生活の質と寿命を大幅に改善できる
性感染症の検査種類・方法
検体採取方法による分類
性感染症の検査では、感染の種類や感染部位によって以下のような検体が採取されます。
- 血液検査:HIV、梅毒、B型肝炎、C型肝炎など
- 尿検査:クラミジア、淋菌など
- 分泌物検査:
- 男性:尿道分泌物
- 女性:膣分泌物、子宮頸管分泌物
- 咽頭拭い液:オーラルセックスによる咽頭感染(クラミジア、淋菌など)
- 直腸拭い液:アナルセックスによる直腸感染(クラミジア、淋菌など)
- 視診・触診:性器ヘルペス、尖圭コンジローマなど
また、検査技術によっても分類が変わります。
- 核酸増幅検査(PCR法など): クラミジア、淋菌、マイコプラズマなどの検出に用いられる高感度な検査法。
- 抗原検査: 病原体の構成成分(抗原)を検出する方法。迅速検査に用いられる。
- 抗体検査: 感染に対する免疫反応(抗体)を検出する方法。HIV、梅毒などの検査に使用する。
培養検査: 検体を培地で培養し、病原体の増殖を確認する方法。淋菌などの検査に用いられる。
検査を受けるタイミング
性感染症の検査を受けるタイミングは、感染の可能性があった行為から病原体の種類ごとの潜伏期間を考慮して決定します。一般的には以下のタイミングが推奨されます:
- クラミジア・淋菌:感染機会から1~2週間後
- 梅毒:感染機会から3~4週間後
- HIV:感染機会から4~12週間後
- B型肝炎:感染機会から2~3ヶ月後
ただし、症状がある場合はすぐに検査を受けることが重要です。また、複数の性感染症に同時に感染している可能性もあるため、一つの検査だけでなく包括的な検査を受けることが望ましいでしょう。
治療
ペニシリン系抗生物質
代表薬: アモキシシリン、ペニシリンG
適応症: 梅毒
作用機序: 細菌の細胞壁合成を阻害し、細菌の増殖を抑制・殺菌する
特徴: 梅毒の第一選択薬。アレルギー反応に注意が必要
セフェム系抗生物質
代表薬: セフトリアキソン
適応症: 淋病
作用機序: ペニシリン系と同様に細胞壁合成を阻害
特徴: 淋病に対する第一選択薬。耐性菌の出現に注意
マクロライド系抗生物質
代表薬: アジスロマイシン
適応症: クラミジア感染症、梅毒(ペニシリンアレルギー時)
作用機序: 細菌のリボソームに結合し、タンパク質合成を阻害
特徴: 単回投与で効果を発揮するため、服薬コンプライアンスが良好
テトラサイクリン系抗生物質
代表薬: ドキシサイクリン、ミノサイクリン
適応症: クラミジア感染症、マイコプラズマ感染症
作用機序: 細菌のリボソームに結合し、タンパク質合成を阻害
特徴: 妊婦・授乳婦・小児には禁忌。光線過敏症に注意
ニューキノロン系抗菌薬
代表薬: レボフロキサシン
適応症: 淋病(耐性菌の場合)、クラミジア感染症
作用機序: DNAジャイレース阻害によりDNA複製を阻害
特徴: 耐性菌に対して有効な場合がある
イミダゾール系抗真菌薬
代表薬: クロトリマゾール
適応症: カンジダ症
作用機序: 真菌の細胞膜合成を阻害
特徴: 外用薬(クリーム・膣錠)として使用されることが多い
トリアゾール系抗真菌薬
代表薬: フルコナゾール
適応症: カンジダ症
作用機序: 真菌の細胞膜の主要成分であるエルゴステロールの合成を阻害
特徴: 内服薬として使用。単回投与でも効果がある
ニトロイミダゾール系抗原虫薬
代表薬: メトロニダゾール
適応症: トリコモナス症
作用機序: 原虫内でのDNA損傷を引き起こす
特徴: 飲酒との併用で副作用(アルコール-ジスルフィラム様反応)が起こる可能性
これらのうち、当院ではアジスロマイシン(ジスロマック®︎)、ドキシサイクリン(ビブラマイシン®︎)を取り扱っております。
また、HIVに対しては逆転写酵素阻害薬、プロテアーゼ阻害薬、などといった薬を使用することもあります。
尖圭コンジローマに対しては冷却や焼灼など、物理的に切除する方法もあります。
性感染症の予防と管理
一次予防(感染予防)
- コンドームの適切な使用: 性感染症予防の基本的かつ効果的な方法
- 性行為の前後の清潔: 特に性器周辺の清潔を保つことが重要
- ワクチン接種: HPV、B型肝炎などはワクチンで予防可能
- 性行為パートナー数の制限: 不特定多数との性行為はリスクを高める
- DoxyPEP(ドキシサイクリンの予防内服)による性病予防の可能性が現在示唆されています。男性同性愛者やトランスジェンダーに対する内服にのみ現在エビデンスがあるような状況ですが、一定の効果が期待されています。詳しくはこちらをご覧ください。
二次予防(早期発見・治療)
- 定期的な検査: 性感染のリスクがある場合は定期的な検査が推奨
- 症状出現時の速やかな受診: 異常を感じたら早めに医療機関を受診
- パートナーの検査・治療: 感染が判明した場合は、パートナーも検査・治療を受けることが重要
三次予防(合併症予防)
- 完全な治療の確認: 治療後に必ず治癒確認検査を受ける
- 再感染の予防: 治療中・治療後も予防行動を継続
- 定期的なフォローアップ: 特にHIVなど慢性化する感染症では継続的な医療ケアが重要
まとめ
性感染症は世界中で増加傾向にあり、適切な知識と理解が求められています。多くの性感染症は適切な治療により治癒可能ですが、無症状のまま進行することも少なくないため、リスクがある場合には積極的に検査を受けることが重要です。
また、性感染症は単に個人の問題ではなく、公衆衛生上の課題でもあります。正確な知識の普及、適切な予防行動の促進、検査・治療へのアクセス向上など、社会全体での取り組みが必要とされています。
性感染症の予防と管理は、性の健康全体の中で考えるべきものであり、包括的な性教育や健康サービスの一環として位置づけられるべきです。一人ひとりが自分の健康に責任を持ち、適切な知識と行動を身につけることで、性感染症の蔓延を防ぎ、より健康的な社会の実現につながるでしょう。
未承認医薬品等
ジスロマックは「尿道炎」「子宮頸管炎」に対する処方としては国内で承認されています。
入手経路
当院で処方しているジスロマックは、国内の製薬会社で製造されたものになり、国内卸より仕入れております。
国内の承認医薬品等の有無
アジスロマイシンを一般名とする医薬品は国内で承認されております。
諸外国における安全性等に係る情報
同成分は、アメリカ食品医薬品局(FDA)でも尿道炎・子宮頸管炎治療薬として承認されています。
未承認医薬品等
ビブラマイシンは「尿道炎」「淋菌感染症」「子宮内感染」に対する処方としては国内で承認されています。
入手経路
当院で処方しているビブラマイシンは、国内の製薬会社で製造されたものになり、国内卸より仕入れております。
国内の承認医薬品等の有無
ドキシサイクリンを一般名とする医薬品は国内で承認されております。
諸外国における安全性等に係る情報
同成分は、アメリカ食品医薬品局(FDA)でも尿道炎・子宮内感染治療薬として承認されています。