「マンジャロを投与したら筋肉痛のような痛みが出た。これは副作用?」と不安を感じていませんか。その筋肉痛はマンジャロの作用というより、栄養不足や水分不足などが原因となっている可能性があります。
ただし、中には横紋筋融解症といった別の重大な疾患が潜んでいることもあるため、軽視はできません。
本記事ではマンジャロ投与後に筋肉痛のような症状が起こる原因、危険な兆候の見分け方、今すぐできる対処方法、そして医師に相談すべきタイミングについて徹底解説します。
マンジャロで筋肉痛が起こる主な原因

マンジャロ投与後に感じる筋肉痛の原因として、食事量の低下によるタンパク質不足、水分摂取量の減少による軽度の脱水状態、体重減少に対する身体反応などが挙げられます。それぞれのメカニズムを理解し、速やかな対処につなげましょう。
注射部位の傷や炎症
マンジャロを打った部位の皮膚や皮下組織が傷つくと、軽度の炎症反応が起こることがあります。そのときの痛みが、筋肉痛のような違和感として現れているのかもしれません。
特に、お腹よりも皮下脂肪が少ない太ももや二の腕に注射をした場合、あるいは針を深く(筋膜に近いところまで)刺しすぎた場合などは、痛みを感じやすくなる可能性があります。
食事量の低下によるタンパク質不足
マンジャロの食欲を抑制する作用(※1)によって食事量が減少した結果、筋肉の材料となるタンパク質の摂取量が不足することがあります。
筋肉は常に分解と合成を繰り返しているため、タンパク質が不足すると筋組織の修復が遅れ、痛みとして現れる可能性があります。マンジャロ投与中は、栄養バランスを意識した食事を心がけてください。
水分摂取量の減少による脱水
食事量が減ると水分摂取量も減少し、嘔吐や下痢といった副作用も重なって脱水症状に陥ることがあります。脱水状態になると筋肉中の水分バランスが崩れ、筋肉がこわばり痛みを感じることがあります。(※2)(※3)
マンジャロ投与中は、喉の渇きを感じていなくても自覚がないまま脱水状態に陥りやすいため、意識的に水分を補給しましょう。
運動を開始したことによる遅発性筋肉痛
新たに運動習慣を取り入れた方は、遅発性筋肉痛が原因かもしれません。急に運動を始めると、慣れていない筋肉が損傷し筋肉痛を発症することがあるためです。
傷ついた筋肉を修復する際に生じる、いわゆる一般的な筋肉痛です。運動を取り入れる際は、タンパク質をはじめとした十分な栄養補給と休息もうまく組み合わせましょう。
その筋肉痛は正常?それとも危険な兆候?判断基準を解説

マンジャロ投与後に筋肉痛のような痛みが出たとき、不安になるのが「この痛みは正常なのか、それとも危険な兆候なのか」という点ではないでしょうか。
一般的に、運動に起因する筋肉痛であれば一時的と考えられますが、中には緊急性の高い『別の疾患』という可能性もあるため慎重な判断が重要です。
経過観察する段階の痛みの特徴と、すぐに医療機関を受診すべき痛みの特徴を説明します。
注意
以下で説明する「経過観察する段階の痛み」に該当する場合でも、その裏に重大な副作用や別の疾患が潜んでいるリスクは完全には排除できません。そのため不安な方は一度医療機関を受診し、原因を特定してもらうこともご検討ください。
経過観察する段階の痛みの特徴
運動を取り入れたことによって生じた筋肉痛であることが明らかであれば、数日は様子を見てもよいでしょう。この間はタンパク質の摂取や水分補給、十分な休息などを意識してください。
ただしマンジャロの作用で食事量や水分摂取量が不足している方は、栄養不足や軽い脱水などによって痛みが少し長引くかもしれません。
なお、痛みが徐々に強くなる場合は別の原因が潜んでいるおそれがあるため、すぐに医療機関を受診してください。
直ちに受診すべき危険な痛みの特徴
以下のような症状が現れた場合は、横紋筋融解症といったの『別の疾患』の可能性が考えられるため、直ちに医療機関を受診してください。
●尿が赤褐色に変化している
●手足・肩・腰・その他の筋肉が痛む
●手足がしびれる、手足に力が入らない
●こわばる、全身がだるい など
横紋筋融解症は、骨格筋の細胞が融解、壊死することにより筋肉痛や脱力などが生じる疾患です。命に関わるおそれがあるため、躊躇せずに医療機関を受診しましょう。(※4)
なお、マンジャロの添付文書(※3)に記載されている重大な副作用は以下のとおりです。あわせて把握しておくことをおすすめします。
- 低血糖(頻度不明)
- 急性膵炎(0.1%未満)
- 胆嚢炎(頻度不明)
- 胆管炎(0.1%未満)
- 胆汁うっ滞性黄疸(頻度不明)
- アナフィラキシー、血管性浮腫(いずれも頻度不明)
- イレウス(頻度不明)
▼マンジャロの副作用については、こちらでも詳しく解説しています。
マンジャロの副作用|症状別タイムラインと危険サインの見分け方
今すぐにできるマンジャロの筋肉痛を和らげる方法

マンジャロ投与後の筋肉痛を少しでも和らげるための方法をご紹介します。ただし、これらはあくまで「一般的な筋肉痛」への対処方法です。症状が改善しない場合や悪化する場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
十分な水分補給を徹底する
喉が渇いていなくても、こまめに水を飲むことで筋肉の代謝をサポートしましょう。起床時、食事中、就寝前などにコップ1杯ずつの水を飲んだり、日中も2〜3時間ごとに水分を補給したりすると効率的です。
一般的には1日2.5L(※5)の摂取が望ましいとされていますが、個人の状況により適切量は異なります。特に、主治医から水分制限を指示されている方などは、必ず主治医に相談の上、適切な水分量を確認してください。
タンパク質を意識的に摂取する
筋肉の維持と修復にはタンパク質が欠かせません。成人の場合、体重1kgあたり1.2〜1.6g程度のタンパク質摂取が推奨されています(※6)。
プロテイン、ギリシャヨーグルト、サラダチキン、納豆、豆腐など、少量でも効率的にタンパク質を補給できる食品を活用しましょう。
固形物を食べるのが辛い時期は、液体やゼリー状のタンパク質補給食品が有効です。タンパク質が筋肉の分解を防ぐことで痛みの軽減につながるだけでなく、減量中の筋肉量維持にも大きな役割を果たします。
無理な運動を控え軽い温浴とストレッチをする
痛みのピーク時は無理な運動を控え、体を休めることが大切です。痛みを我慢して運動を続けることは、かえって症状を悪化させるおそれがあるため注意が必要です。
その間は、血行を促進するため38〜40度程度のぬるめのお風呂にゆっくり浸かるなどするとよいでしょう。
また痛みが落ち着いてきたら、無理のない範囲で軽いストレッチを開始するのもおすすめです。急激な動きは避け、ゆっくりと筋肉を伸ばすイメージで行ってください。
市販の鎮痛剤は併用可能?(アセトアミノフェン・ロキソニン)
痛みが強い場合、市販の鎮痛剤の使用を検討することもあるでしょう。この場合は、事前に必ず医師または薬剤師に相談してください。体質や服用中の薬、既往などさまざまな観点から判断することが重要だからです。
なおアセトアミノフェン(カロナール等)は一般的に使用できると言われているものの、マンジャロとの併用についてはやはり、必ず事前に医師または薬剤師に確認してください。
また、ロキソニンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、マンジャロの副作用である胃腸障害のリスクを高めるおそれがある(※7)ため、より慎重な判断が必要です。
自己判断かつ長期使用は避けるとともに、鎮痛剤を使用しても痛みが改善しない場合や、数日以上連続して使用する必要がある場合は、必ず医療機関を受診して指示を仰いでください。
マンジャロ投与後の筋肉痛はいつまで続く?
筋肉痛のような症状の継続期間は、個人差が大きいというのが現状です。そのため明確に「いつまで続く」とは言えませんが、ひとつの目安として以下の基準を覚えておきましょう。
●運動に起因する筋肉痛の場合:一般的なケースとして2〜3日程度で軽快します。
●栄養不足や脱水が原因の場合:タンパク質摂取や水分補給といった対策を始めてから数日ないし1週間程度で改善するかどうか様子を見てみてください。
1週間を超えても痛みが変わらない、悪化している、もしくは直ちに受診すべき危険な痛みの特徴が見られるなどの場合は、様子見をせずに医療機関を受診してください。
マンジャロの筋肉痛により筋肉量が減って代謝が落ちる?

マンジャロ投与後に筋肉痛のような痛みを経験すると「筋肉量が減って代謝が落ちるのではないか」と不安を抱く方もいるかもしれません。筋肉痛は筋肉量の減少や代謝の低下に直結するのでしょうか。
痛みがある=筋肉量の急激な減少ではない
マンジャロ投与後の筋肉痛のような痛みは、重大な副作用のケースを除き、主に栄養不足や脱水などが原因と考えられます。
そのため痛みがある=筋肉が減っている=代謝が低下するとは言い切れません(直ちに受診すべき危険な痛みの特徴に該当する場合はすぐに医療機関を受診してください)。
ただし栄養不足や脱水の状態が長く続くと、体はエネルギー不足を補うために筋肉を分解してしまいます。その結果、筋肉が減少し基礎代謝が低下することは考えられます。
筋肉量の低下を抑えるためのポイント
栄養不足などによる筋肉量の減少を抑えつつ、マンジャロを使い続けるには、以下のようなポイントを押さえておくことが大切です。
●体重1kgあたり1.2〜1.6gのタンパク質を摂取する(※6)
●週2〜3回など無理のない範囲で軽い筋トレを継続する
●月あたり体重の約2〜4%(※8)を目安に無理のないペースで減量していく
こうしたことを意識し、筋肉量を維持しながら(代謝の低下を抑えながら)健康的な減量を目指していきましょう。
マンジャロの筋肉痛について医師に相談すべきタイミング
マンジャロ投与後の筋肉痛が予想以上に辛く感じると「高額な費用を払って始めた治療を、副作用のために中止すべきなのか?」という葛藤が生じるかもしれません。医師に相談すべきタイミングについてまとめたので、一つの判断基準にしてください。
対処方法を試しても改善しない・悪化している気がする
まず、本記事でも紹介している「今すぐにできるマンジャロの筋肉痛を和らげる方法」を実践し、数日経っても痛みがまったく改善されない、あるいは悪化している場合です。
いわゆる運動に起因する筋肉痛ではない可能性があることや、栄養管理・水分補給などが誤っている可能性なども考えられます。悪化している場合は重大な副作用のおそれもあるため、様子を見るのではなく速やかに医療機関を受診してください。
日常生活に明らかに支障が出ている
日常生活に明らかに支障が出ている場合も、医療機関に相談すべきタイミングです。たとえば日常の動作に支障をきたしている、仕事や育児が困難なレベルの痛みがあるなどの場合は、一般的な筋肉痛ではない可能性が考えられます。
筋肉痛とあわせて尿の色の変化や脱力などが見られる
筋肉痛に加えて手足・肩・腰なども痛い、尿が赤褐色に変化している、手足に力が入らない、手足がしびれる、全身がだるいといった場合は、重大な副作用のおそれがあります。
直ちに受診すべき危険な痛みの特徴も参考にしていただき、該当する場合や「確かではないけど不安がある」という場合は、遠慮なく医療機関を受診しましょう。
医師に伝えるポイント
医師に相談する際は、症状を正しく伝えることが大切です。たとえば痛みの強さは、0〜10段階(0は痛みなし、10は想像できる最悪の痛み)で評価すると伝わりやすいです。その際、痛みの継続期間と変化(悪化している、改善傾向にある等)も説明しましょう。
また日常生活への影響(仕事や家事、睡眠にどの支障がある等)も重要な情報です。そのほかの症状(尿の色、発熱、脱力感など)がある方も必ず報告してください。
あわせて、実践した対処方法(水分摂取、タンパク質摂取など)についても伝えることで、医師はより的確なアドバイスがしやすくなります。
当クリニックでは医師によるオンラインサポートを実施!些細な不安も気軽にご相談ください
マンジャロ投与後に起こる筋肉痛のような痛みは、タンパク質の摂取や適度な水分補給、十分な休息などによって軽快する可能性があります。
ただし中には、横紋筋融解症といった『別の重大な疾患』が隠れていることも。そのため少しでも不安がある場合は、遠慮せず医療機関を受診してください。
当クリニックでは、マンジャロ治療中の患者さまを対象に、医師によるオンラインサポートを実施しています。
投与後の体調変化や副作用への不安、筋肉痛に関する悩みなど、些細なことでもお気軽にご相談ください。
(注釈・参考文献)
※1:https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00070640
※2:https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/530471_2499422G1024_1_09
※3:https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/07-%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%96%BE%E6%82%A3/%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%AE%E7%97%87%E7%8A%B6/%E7%AD%8B%E7%97%99%E6%94%A3
※4:https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1c09.pdf
※5:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000205776.pdf
※6:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6566799/
※7:https://www.drugs.com/drug-interactions/ibuprofen-with-mounjaro-1310-0-4363-20051.html
※8:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/oby.22169





